○松前町中小企業振興基本条例
令和6年6月28日
条例第20号
本町は、重信川の湧水、伊予灘、田園風景その他の水と緑にあふれた自然環境、大型商業施設が立地する魅力ある商業環境、利便性の高い交通環境など、自然と都市がバランスよく調和した良好な生活環境がそろっている。
また、肥沃な土地における農作物栽培や豊かな漁場である伊予灘における漁を生業とする第一次産業をはじめ、食品や化学繊維の製造が盛んな第二次産業、大型商業施設に多くの集客がある第三次産業など、各産業がバランスよく発展している。
本町の企業の大多数を占める中小企業は、こうした特色ある産業の発展に大きく貢献してきたところであり、それぞれの事業活動を通じ、今後も地域の経済と雇用を支え、本町のまちづくりに幅広く重要な役割を担うことが期待されている。
しかしながら、少子高齢化の進行に伴う就業人口の減少、経営者の高齢化に伴う事業の後継者不足、グローバル経済の進展に伴う産業競争の激化、デジタル技術等の急速な発展に伴うビジネス環境の変容など、中小企業を取り巻く環境は、大きな変化に直面している。
このような状況にあることから、中小企業の自主的な努力を基本としつつも、町は中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、中小企業関係団体及び金融機関等は中小企業の経営の改善及び向上を図るための取組を積極的に支援するなど、中小企業の持続的発展に連携して取り組むことが必要である。
このため、町政の重要課題として、地域社会と一体となって中小企業の振興に取り組むことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、中小企業が本町の経済及びまちづくりにおいて重要な役割を担っていることに鑑み、中小企業の振興に関する基本理念及び基本方針を定めるとともに、町の責務等を明らかにすることにより、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって本町経済の健全な発展及び町民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に掲げる中小企業者であって、町内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。
(2) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、町内に事務所等を有するものをいう。
(3) 大企業者 中小企業者及び小規模企業者以外の事業者であって、町内に事務所等を有するものをいう。
(4) 中小企業関係団体 商工会その他の中小企業の支援、振興等を目的として設立された団体をいう。
(5) 金融機関等 銀行、信用金庫その他の金融の業務を行う事業者で町内に本店又は支店を有するもの及び愛媛県信用保証協会をいう。
(6) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校であって、町内に所在するものをいう。
(基本理念)
第3条 中小企業の振興は、多様な中小企業者の事業活動により、地域経済の健全な発展及び町民生活の向上が図られることを目的として、推進されなければならない。
2 中小企業の振興は、中小企業者の自らの創意工夫と自主的な努力を尊重して推進されなければならない。
3 中小企業の振興は、中小企業者が地域の経済及び雇用を支える重要な役割を担っているという基本的認識の下に推進されなければならない。
4 中小企業の振興は、国、県、町、中小企業関係団体、金融機関等及び学校の相互連携並びに大企業者及び町民の協力を基本として、推進されなければならない。
5 中小企業の振興は、経営資源の確保が困難であることが多い小規模企業者の事情に配慮して推進されなければならない。
(基本方針)
第4条 町は、前条に定める基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業者の振興に関する施策を実施するものとする。
(1) 中小企業者の経営基盤の強化、経営の革新及び持続的な発展を図ること。
(2) 中小企業者の人材の確保及び育成を図ること。
(3) 中小企業者の労働環境の整備を図ること。
(4) 中小企業者の新規創業の促進及び円滑な事業承継を図ること。
(5) 中小企業者に対する資金の供給の円滑化を図ること。
(6) 地域内の経済循環を促進すること。
(町の責務)
第5条 町は、中小企業者の振興に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 町は、中小企業者の振興に関する施策の実施に必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。
3 町は、中小企業者及び中小企業関係団体、金融機関等その他の中小企業に関係する団体との協働体制の構築に努めるものとする。
4 町は、工事の発注並びに物品及び役務の調達に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業者の受注機会の増大に努めるものとする。
(中小企業者の努力)
第6条 中小企業者は、社会的・経済的環境の変化に対応して、自主的に経営の改善及び向上に努めるものとする。
2 中小企業者は、自らの事業活動を通じ、雇用の維持拡大、人材の育成及び労働環境の整備に努めるものとする。
3 中小企業者は、地域社会を構成する一員として、社会貢献活動及び地域活性化のための事業活動を通じ、本町経済の健全な発展及び町民生活の向上に資するよう努めるものとする。
4 中小企業者は、町又は中小企業関係団体が実施する中小企業者の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(大企業者の役割)
第7条 大企業者は、その事業活動を通じ、中小企業者の振興に協力するよう努めるものとする。
(中小企業関係団体の役割)
第8条 中小企業関係団体は、中小企業者及び地域経済の現状把握並びに中小企業者の経営の改善及び向上に対する支援に努めるとともに、町が実施する中小企業者の振興に関する施策に協力するものとする。
(金融機関等の役割)
第9条 金融機関等は、中小企業者の資金需要に対する適切な対応並びに中小企業者の経営の改善及び向上に対する支援に努めるとともに、町が実施する中小企業者の振興に関する施策に協力するものとする。
(学校の役割)
第10条 学校は、職場体験学習その他の中小企業者の理解を深める学習により、地域の次世代を担う人材の育成に努めるものとする。
(町民の理解及び協力)
第11条 町民は、中小企業者の振興が本町経済の健全な発展、雇用の創出及び町民生活の向上に寄与することの重要性を理解し、町内での消費行動その他の活動により、中小企業者の振興に協力するよう努めるものとする。
(松前町中小企業振興審議会)
第12条 中小企業の振興を図るため、町長の附属機関として、松前町中小企業振興審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事項について町長の諮問に応じて調査審議し、その結果を町長に答申するものとする。
(1) 中小企業の振興の重要事項に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、この条例の適正な運用に関すること。
3 審議会は、委員15人以内をもって組織する。
4 審議会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
5 前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が定める。
(委任)
第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が定める。
附則
1 この条例は、令和6年7月1日から施行する。
2 松前町執行機関の附属機関設置条例(平成29年松前町条例第12号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略