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龍燈の松
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更新日:2018年10月10日更新
説明
かつての松前城二の丸付近には、龍燈の松と呼ばれる巨木があった。昔、松前港に向う漁船が遭難した時、この松の上に光が昇り、漁船の道案内をしたという。また、松前城と共に生きた龍燈の松は、当時の城の移り変わりを静かに見守ってきた。
松前城は、各氏の居城となったのち、文禄4年7月、加藤嘉明を城主に迎えた。慶長5年、嘉明は関ヶ原の役の戦功によって20万石の封を受けた。これを契機に嘉明は同7年、松山城の築城を行い、翌年、松山城へ移った。これ以降、松前城は廃城となり、礎石とか、砂山とかが、長く住時の面影を残していたのであるが、明治末に行われた耕地整理などによって、原型をとどめなくなっていった。
この状況を憂えた町は、東レ東正門前、龍燈の松のあった地を選んで「松前城跡」なる碑を建て、松前城の歴史を略記して、後世に残すことにした。時に大正14年(1925)10月である。
龍燈の松は、残念なことに大正11年11月23日大風のために倒れた。
樹齢338年であった。
この巨大な切断部分の年輪には、松前城の変遷と城下町松前の歴史が刻まれている。